革の「部位」で変わる表情:ショルダー・ベリー・バットの違い

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革の財布やペンケースを選ぶとき、「栃木レザー」や「イタリアンレザー」といったブランドや産地は気にしても、革のどの部位が使われているかまで意識される方は少ないかもしれません。

でも実は、一頭の牛から取れる革は、場所によってまるで別の素材のように性格が異なります。私たちが日々革と向き合うなかで感じる「この部位ならではの良さ」を、今日はお伝えしたいと思います。

牛革の部位を示す図解:ショルダー・ベリー・バットの位置関係

一枚の革に、いくつもの「顔」がある

牛の皮は、大きく分けてショルダー(肩)バット(背中〜お尻)ベリー(お腹)の3つの部位に分類されます。タンナー(なめし業者)から届く半裁の革を広げると、それぞれの部位で繊維の密度や厚み、しなやかさが目に見えて違うんです。

革小物を作るとき、私たちはまずこの部位の特性を見極めて、どの製品にどの部分を使うかを決めていきます。これが仕上がりの表情を大きく左右するからです。

バット(背中〜お尻)— 革の一等地

バットは牛の背中からお尻にかけての部分で、革のなかで最も繊維が均一で、厚みも安定しています。面積も広く、革製品の「一等地」と呼ばれる理由がよくわかります。

触ってみるとわかるのですが、繊維の目がきゅっと詰まっていて、しっかりとした弾力があります。曲げても変な皺が入りにくく、裁断しても端がほつれにくい。財布やカードケースなど、精密な革小物に最も適した部位です。

SpringHikerのコンパクト財布には、このバット部分を優先的に使っています。毎日手に触れるものだからこそ、繊維の詰まった部位で仕立てることで、長く美しいエイジングが楽しめます。

栃木レザーのバット部分:緻密な繊維と均一な表面

ショルダー(肩)— 野性味のある表情

ショルダーは牛の肩から首にかけての部位。この部分には、革好きの方なら一度は耳にしたことがある「トラ」と呼ばれる独特のシワ模様が入ります。

牛が生きているあいだに首を動かすことで自然にできるこの模様は、一つとして同じものがありません。繊維の方向が複雑に入り組んでいるため、バットに比べるとやや柔らかく、伸びやすい傾向があります。

私たちがショルダーを使うのは、その「表情の豊かさ」を活かしたいとき。トートバッグの本体や、あえてラフな風合いを出したい小物に向いています。本革トートバッグには、このショルダー特有の味わい深い表情が映えます。

ベリー(お腹)— 柔らかさという個性

ベリーはお腹の部分。繊維が粗く、他の部位に比べて薄く、柔らかいのが特徴です。革業界では「使いにくい部位」と見なされることもありますが、私たちはそうは思いません。

この柔らかさは、キーカバーやキーホルダーのように「くるむ」「巻く」動作が必要な製品にはぴったりなんです。鍵の形にしなやかに沿い、使い込むほどに馴染んでいく。ベリーならではの良さがあります。

ただし、ベリーは伸びやすく厚みが安定しないため、財布のような精密な製品には向きません。部位の特性を理解して「適材適所」で使い分けることが、革小物づくりの基本です。

部位を知ると、革小物の見え方が変わる

同じ「栃木レザー」でも、バットから取った革とショルダーから取った革では、手触りも表情も経年変化の出方もまるで違います。どちらが良い・悪いではなく、それぞれに最適な使い道があるということです。

もし革製品を手に取る機会があったら、ぜひ表面の繊維の流れや、曲げたときのハリ感に注目してみてください。「ああ、これはバットの革だな」「この柔らかさはベリーかも」——そんなふうに革と対話できるようになると、革小物との付き合いがもっと楽しくなるはずです。

SpringHikerでは、部位の特性を活かして一つひとつ手作業で裁断・縫製しています。商品一覧から、ぜひ実際の革の表情をご覧ください。

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