革の手帖

Apple Watchの革バンド、夏はこう付き合う——汗・水濡れ・紫外線の実践ガイド

Apple Watchの革バンド、夏はこう付き合う——汗・水濡れ・紫外線の実践ガイド

梅雨が明ければ、手首はいちばん夏を感じる場所になります。袖が短くなり、時計まわりの肌が外気にさらされ、少し動けば汗ばむ。そんな季節に Apple Watch の本革バンドを巻いていると、ふと不安がよぎる方もいらっしゃるでしょう。「汗で傷まないだろうか」「夏は革を休ませたほうがいいのでは」と。

結論から言えば、夏でも革バンドは気持ちよく使えます。ただ、付き合い方が少しだけ変わる。汗・水濡れ・強い日差しという、夏ならではの相手を知っておくだけで、手首の相棒はずっと長く、美しく育ちます。

革バンドそのものの選び方やサイズについては〈Apple Watchに本革バンドを選ぶ理由〉で詳しくお話ししました。今日はその続きとして、「夏の革バンドとの付き合い方」を、栃木レザーを毎日触っている私たちの目線でお伝えします。

夏の革バンドが向き合う、三つのこと

夏の革バンドが相手にするのは、大きく三つです。

ひとつは汗と皮脂。手首の内側は、一日を通してじんわりと汗をかいている場所です。汗に含まれる塩分や皮脂が革の裏側に少しずつ染み込むと、色が濃く変わったり、肌に当たる面がこわばってきたりします。

ふたつめは水濡れ。手を洗う、飲み物の結露、にわか雨。夏は革が水に触れる機会が一年でいちばん増える季節です。濡れること自体がすぐにダメというわけではありませんが、濡れたまま放っておくと輪じみ(水ぶくれのような跡)が残りやすくなります。

みっつめは紫外線と高温。直射日光が続くと革の表面は乾き、油分が抜けて硬くなりがちです。真夏の車内など、高温の場所に置きっぱなしにするのもよくありません。

どれも「革にとっての敵」と聞くと身構えてしまいますが、ひとつずつ対処を知っておけば、慌てることはありません。

汗をかいたら、その日のうちに

いちばん大切で、いちばん簡単なのが、その日の汗をその日のうちに拭くこと。これだけで一年後の表情が変わります。

一日の終わりにバンドを外したら、乾いた柔らかい布で、肌に当たっていた裏側をさっと拭いてあげてください。ごしごしこする必要はありません。汗の塩分を、表面に残さない——それだけで十分です。

汗ばむ日が続くときは、夜のあいだバンドを外して、風通しのよい日陰で休ませるのもおすすめです。革も人と同じで、ひと晩しっかり乾けば翌朝にはさっぱりしています。装着するときは、ほんの少しだけゆるめに巻くと、手首と革のあいだに空気が通って、汗のこもりがやわらぎます。

夏の革小物のケア全般については〈夏の革小物——汗・紫外線と上手に付き合うケアガイド〉にもまとめていますので、あわせてご覧ください。

水と汗を「染み込ませない」そなえ

拭くのが「あとの手当て」なら、染み込ませない工夫は「先の備え」です。

シーズンの始めに、革用の防水スプレーを薄く一度かけておくと、汗や水をはじいてくれて、染みになりにくくなります。かけすぎは禁物。20〜30cmほど離して、表面がうっすら湿る程度に一度、乾いてからもう一度——これが目安です。

それでも濡れてしまったら、まずは布で水分を押さえるように取り、あとは日陰で自然乾燥。ドライヤーやストーブで急いで乾かすと、革が縮んだり硬くなったりするので避けてください。そして、シャワー・プール・海・サウナのときは、潔く外す。これが革バンドをいちばん長持ちさせる、シンプルな約束ごとです。

革のお手入れ道具——柔らかい布と防水スプレー

夏をもっと快適にする、選び方と使い方

夏を心地よく過ごすための、ちょっとした工夫もご紹介します。

ひとつは、バンドのローテーション。汗を大量にかくスポーツやプールの日はシリコンやナイロンのバンドに付け替え、オフィスや街歩きの日は革を巻く。Apple Watch はバンドの付け替えがほんの数秒ですから、シーンで使い分ければ、革バンドの出番をいちばん心地よい場面に取っておけます。

もうひとつは、色選び。汗じみが気になる方は、ダークブラウンやブラックなど濃いめの色が安心です。一方で、ナチュラルやキャメルのヌメ革は、汗や日焼けも含めて飴色に育っていくのが醍醐味。「汗の跡も味のうち」と楽しめる方には、明るい色こそ夏が似合います。

サイズは、夏は手首がむくみやすい季節でもあるので、留め穴ひとつ分の余裕を見ておくと、一日を通して快適に過ごせます。

汗も、時間の一部——夏が育てる、あなただけの一本

夏は、革にとって試練の季節のように思われがちです。けれど私たちは、夏こそ革がいちばん「育つ」季節だと感じています。汗をかき、日差しを浴び、毎日手首で動く——そのすべてが、革に少しずつ深みを加えていきます。半年後、ふと手首を見たとき、買ったばかりの頃にはなかった艶に気づくはずです。それは、あなたがその夏を過ごした証です。

経年変化で飴色に育った本革のApple Watchバンドのクローズアップ

栃木レザーで手首の一本を誂えてみたい方は、〈オーダーメイドのご相談〉から、色や仕立てのご希望をお聞かせください。汗の季節を一緒に越えていける、長い相棒を仕立てるお手伝いをいたします。

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手帖は、つづく。

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